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Realistic Job Preview

先日、山形県のとある会社の採用ホームページのことがニュースになっていました。早速覗いてみると、「こんな大切なことをインターネットで調べようとする人は要りません。電話をして、自分で直接お出でください」という文言が冒頭に堂々と鎮座していました。

傲慢だという批判も多いようですが、まさに正論だと思います。

多くの就活生は、大手就職情報サイトに掲載される1万数千社の採用情報をもとに自身が応募する企業を選んでエントリーしますが、そのサイトに掲載される情報はすべて統一のフォーマットに書かれた無機質な情報で、そこから各社の個性を読み取ることはほぼ不可能に感じます。それゆえ、社名を知っている会社やなんとなく雰囲気のよさそうな会社を選んでエントリーすることになるのですが、この“雰囲気のよい会社”という選択軸が実はミスマッチの要因の一つになっていると考えられます。

各社とも応募母集団をたくさん集めるために就職サイトを利用するわけですから、そこに載せる情報は響きのよいキャッチフレーズや心地のよい誘い文句、見栄えのする自社の強みばかりになります。しかし言うまでもなく、それらの情報は会社を表す事実の一つに過ぎず、実際はそこに記載されていないさまざまな状況が存在するわけで、入社後に「こんなはずでは...」という早期退職や、踏ん張りのきかない要努力層を生んだりすることになります。

今から20年ほど前に、そんな状況に警鐘を鳴らし、会社のすべてを知ってもらったうえで入社をしてもらおうと考えた会社がいくつか現れました。いわゆる、Realistic Job Previewと言われる手法で、自社の強みも弱みも、また実際の職場の様子も可能な限り詳らかに開示したうえで、それでも魅力に感じてくれる学生を採るという採用スタンスです。こうした考えのもとに採用活動を進めると、もちろん応募者は大きく減りますが、一方で、会社の課題をよく理解したうえで覚悟をもって応募する学生が門戸を叩いてくれるので、少なくともイメージと違ったというミスマッチを生むことはありません。

応募母集団を減らすことは採用担当者にとってとても勇気の要る決断ですが、冷静に考えてみると、そこで去っていく学生は「自分はこの会社では頑張れない」というセルフスクリーニングをしているわけですから、そもそも入社すべき人材ではないのです。そういう層を母集団に取り込んで選考に膨大な時間を費やすよりも、コミットの高い小さな母集団とのコミュニケーション機会を増やし、そこで精度の高い選考を行うことでより質の高い選考ができるのではないでしょうか。

山形の会社のご発展をお祈りしたいと思います。

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