
強い中堅企業
いつの時代も就活生の本音は「大企業に入りたい」ということだと思いますが、ここ数年、特にその傾向が強まっているというデータがあります。大手就職サイトを運営する会社が毎年行っている就活生の意識調査では、学生の大企業志向が驚くほど高くなっており、且つ、定年までそこで勤め上げたいという人が大半という結果になっています。 考えてみれば、昨今の就活生の世代は、物心ついたころにはバブル経済が崩壊し、失われた20年といわれる時代を生きてきたので、就職という人生の節目で保守的な思考をすることはごく自然な流れなのかもしれません。 しかしその一方で、多様な価値観を有している彼らであるからこそ、もっと柔軟な発想で自身のキャリアを考えてもよいのではないかとも思います。 先日、中堅企業研究会という組織がそのホームページで「強い中堅企業のかたち 中堅企業研究会レポート2014」という考察を発表しましたが、ここで示されている視点は就活を考えるうえでもとても役に立つと感じました。 産官学各界の有識者によって今年5月に発足した中堅企業研究会は、様々な中堅企業が直面する課題を調査分析

多様化する働き方
思い返せば、私が社会人になった1994年、まだ社員にはノートパソコンは貸与されていませんでした。30代・20代の方々からすると、そのような環境でいったいどんな仕事をしていたのかと驚かれそうですが、当時は社内通達を作成するにも、自分のデスクを離れて共用のワープロスペースへ向かい、そこでササッとタイプしていたという状況でした。このササッとというのがミソで、20名くらいの社員に対してワープロが数台しかなかったので、新人の私がその一つを長い時間占有し続けるのは気がひけたのです。 それからちょうど20年。ノートPCやスマホにipad、Wi-Fiルーターなど、多くの機器が社員一人ひとりに貸与されるようになり、社内を見渡しても高機能な電話会議システムやグローバルとタイムラグなしで顔を合わせてミーティングできるビデオ会議システムなど、本当に便利な機会が導入されるまでになりました。 こうした便利な機器が仕事の効率を飛躍的に高め、私たちの生産性も随分と向上したと感じますが、何よりその有効性を感じるのは、オフィスにいなくてもかなりの仕事をこなせるようになったということ

細胞医薬品というイノベーション
医薬品業界はまさにサイエンスの結晶です。 文系出身の私には残念ながら難しいところまでは理解できないことがたくさんありますが、今回 開発された細胞医薬品がいかに画期的であるかということは容易に理解できます。 JCRファーマ社のプレスリリースによると、同社は9月26日に急性移植片対宿主病を対象とした日本初の細胞医薬品の承認申請を行ったということですが、それは、健康なドナーから採取した骨髄液から間葉系幹細胞を分離したうえで拡大培養して製造するそうです。 幹細胞が持つ、傷を治したり炎症を鎮めたりする機能を活用する薬剤ということで副作用も少なさそうに思えますが、人間の自然治癒力を活用しているという意味で本当に画期的だと思います。 実際に治験に参加した患者さんの症状も劇的に回復し、治療に関わった医師もかなり効くという実感を持っておられるというニュースも耳にしましたが、このような画期的な新薬が脳梗塞や心筋梗塞、糖尿病やがんなど、幅広い病気の治療に利用できるのではないかという研究が進んでいるということにも大いに期待したいと思います。 昨今、メガファーマ各社がバイ

企業における人材育成
企業で新卒採用を担当していると、学生さんからよく研修制度についての質問を受けます。入社後、自分がどのようにスキルを磨いてキャリアアップしていくのかということについて関心を寄せる姿に感心する一方で、質問の仕方によっては、「会社に育ててもらう」という受動的な印象を受けることもあります。 厚生労働省が民間企業を対象に実施した能力開発基本調査によると、能力開発の責任主体は「会社」と捉えている企業が全体の75%という結果で、そこから考えると、会社に育ててもらうという考え方は会社側の思惑と一致しているように感じます。 しかし一方で、会社が人材育成について課題と感じていることの一つに、「せっかく育成してもすぐに辞めてしまう」という項目が挙がっており、人材育成の難しさをあらためて考えさせられます。 日本の経済が安定的に右肩上がりの状態を保ち、且つ、ビジネス環境が安定しているという前提のもとでは、終身雇用や年功序列の給与体系と併せて、一律の人材育成体系も機能すると考えられます。しかし、ビジネス環境の変化が激しく、昔に比べてビジネスのサイクルが短くなって極めて短期間