断捨離就活のススメ
9月も中盤に差し掛かり多くの人が夏季休暇を取り終える頃ですが、会社員にとって長期休暇明けにメールボックスを開ける作業はちょっと憂鬱に感じるものです。たくさん溜まったメールを一つひとつ読み込むだけに丸1日を費やしたという話はよく聞きますし、またそれを避けるために休暇中もメールを頻繁にチェックしている人も多いと思います。
そのような状況の中、今年 耳にした「Mail On Holiday」というダイムラー社(ドイツ)が導入したプログラムは衝撃的でした。従業員が休暇に入る前にこのプログラムをオンにしておけば、休みの間に届くすべてのメールを自動で削除するというのです。もちろん賛否はあると思いますが、休暇中は仕事のことを考えないというポリシーを明確に具現化する一つの手段ではあると思います。
私自身も会社勤めをしていた頃は毎日100-150通ほどのメールを受け取り、ほぼ同数のメールを送信していました。しかし、実はその半数以上はCC扱いで、中には私にほとんど関係のない事柄の情報も含まれていました。事実、休暇前に、「いついつまでは休暇で不在にします」と関係者に伝えておくと、その間に届くメールの数は普段の半数以下になっていました。これは、日ごろいかに重要でない情報にさらされながら仕事をしているかということを如実に物語っていると思います。
これらの事実から私たちが学ぶべきことは、「仕事の本質(重要なテーマ)にフォーカスする」ということではないでしょうか。情報が溢れ、さまざまなことがらが複合的に関連しながら進行する昨今、ともすればそのすべて関わろうとと考えがちですが、その量が多すぎると結果的にすべてのことがらを表面的に処理してしまうことになります。そしてそうした姿勢は、本来自分が充分な時間を割いて取り組むべきことにシッカリ向き合えないという状況を生み出し、革新的な仕事をする機会を逸してしまいます。
さて、学生さんの就職活動の状況はどうでしょうか。
学生一人当たりの平均エントリー数が80社を超え、参加するセミナーは40社、提出するエントリーシートも40枚以上というデータがあります。しかし、企業分析を生業としているアナリストの方々に伺うと、40社の企業研究は決して容易なことではないとのことです。学業やクラブ/サークル活動、加えてアルバイトにまで多くの時間を取られる大学生にとってはなおさらでしょう。
だとすれば、多くの会社にエントリーした方が内定を取りやすいという根拠の低い確率論に振り回されるてやみくもに手を広げるよりは、数を半分に減らしてでも、徹底的にそれぞれの会社のことを調べる方が効果的ではないでしょうか。ネットで得られるの情報は会社のごく一部です。セミナーで人事担当者が熱弁する内容もしかりです。誰でも簡単に入手できるこれらの情報をもとに考える志望動機が、果たして面接官の心に響くでしょうか。例えば、何人かのOB/OGを訪問して本音で話を聞き、セミナーで説明していることの背景を理解することでも企業理解が深まると思います。
「断捨離」はとても勇気の要る行為です。しかし、それを行わずにものごとの本質には辿り着けません。就活も同じです。本当に必要な行動にフォーカスすることで、おのずと望む結果を得られるはずです。必要なことは、そこに舵を切る勇気だと思います。